資産流動化法

◆2.特定目的信託制度「資産流動化法」では、特定目的信託制度も新設されました。これは一度信託銀行に不動産信託してその信託受益権をSPVへ譲渡したのちにABSなどを発行していた従来の手法に比べ、信託銀行(受託信託会社)自らがSPT(特定目的信託会社)となるストラクチャーといえます。このSPTは管理処分型を基本として、オリジネーターに証取法上の有価証券である信託受益権(受益証券)が発行されます。オリジネーターはこの受益証券を自ら販売でき、証券業適用除外の扱いを受けることに特徴があります。ただし、発行できる受益証券は1種類です。他方、特定資産に対する元本部分が異なる場合は、別途異なる受益証券も発行できることになっています。たとえば、元本受益権と利益受益権の複層化、優先劣後受益権の創設も可能です。
【一般的な不動産信託との違い】これまでは、不動産信託は一般的に土地信託と建物信託に分けられ、さらに「管理型」と不動産の売却を前提にした「処分型」で使い分けられてきました。不動産の証券化で倒産隔離を重視すると、狭義には「処分型」しか評価に値しないとの意見も少なくありません。また、オリジネーターの盗意’性が強く働き、不動産信託自体はSPVへ優先信託受益権のみを売却するためのいわばツールの1つとして利用されていたに過ぎないともいわれています。したがって、信託銀行は少ないフィーで信託受益権を発行するだけの存在として、場合によっては不動産の「含み損」を劣後信託受益権という暖昧価値に仕立てていました。そのため、実質ゼロ価値の劣後信託受益権の買い手はなく、オリジネーターが保有するのが一般的でした。これが、「飛ばし」と疑義をかけられる根拠にもなっています。